近世のガラス

1670年代になると欧州諸国であるボヘミアやドイツ、イギリスなどでもガラスの製造が盛んになった。また、ガラスの原料にチョークや酸化鉛を加えるといった新しい技術も開発され、これによって透明かつ厚みのあるガラスを製造できるようになった。これらは高度な装飾やカットが施され、バロックガラスやロココ様式のガラスが製造された。これはそのガラスの厚さゆえに可能であったことだと言える。

さらに、蓄熱式加熱法の発明により簡単に高熱でガラスを溶かすことができるようになり、溶融ガラスの大量生産が可能となった。

この頃からガラス製品を製造するガラス工芸と、建築物のためのガラス製造は分化していくこととなる。 より大きく、平らなガラスを目指して、ドイツでは手吹き円筒法という技術が、フランスでは磨き板ガラスが開発された。

1900年代になるとフルコール式、ピッツバー式、コルバーン式といった溶融したガラスを直接引き上げて形をつくる新しい技術が開発され、ガラスの大量生産が可能となった。
また、この頃にフロートガラスの製造が開始される。フロートガラスは窓ガラスに多く使用されるガラスで、溶融したガラスを金属板の上に浮かべて製造する方法で、ガラスの重みを利用して平らな表面を得ることができる。これまではガラスは製造後に研磨の工程があったが、フロート式ではガラスを研磨する必要がなくなった。